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委任状における代理人
代理人には、法定代理人と任意代理人の二種類があります。法定代理人とは、文字通り、法律が定めた代理人のことで、たとえば、未成年者に対する親権者がこれにあたります。一方、任意代理人とは、本人との任意の意思表示に基づき代理権を得た者をさします。したがって、委任状における代理人とは、後者の任意代理人を指すことになります。
この任意代理人の代理権は、本人が他人に代理権を授与した瞬間から発生します。こうして任意代理人となった場合、その者は、代理権の範囲内ならば、自分自身の判断でいかなる法律行為をするか決め、意思表示をする自由があります。この意味において、単に意思表示を伝達するにすぎない使者とは異なりますが、この自由な裁量権こそが、トラブルの原因になりがちなものなので注意が必要です。
どこまでが代理人の権限の範囲となるのでしょうか。法律では、本人の真意にかかわらず、代理権は形式的に広く解釈すべきとするのが定説となっています。たとえば、AがCに土地を売りたいとします。これをやってもらうために、AはBに代理権を与えます。すると、Bは任意代理人となり、自らの裁量で自由に仕事を遂行することができます。このため、AはCに土地を売りたいと考えていても、Bは勝手にDやその他の人に売り渡すことも可能となります。「そんなことあるのか」と思われるかもしれませんが、法的な解釈としてはこのようになっています。
では、代理権の濫用は適用されないのでしょうか。代理人が、自分の利益のためや仲間の利益のために勝手な契約をした場合などは、問題になるかもしれませんが、原則として代理は有効となります。ただし、相手方が代理人の濫用意図につき悪意・有過失である場合には、法律効果が無効となる判例があります。