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浮気をした夫から妻への詫び状
※詫び状は、本来は縦書きで書きます。
洋子へ 先日、きみに突然指摘をされて動転した。返す言葉もなく、ただきみの怒りと悲しみに対して申し訳なく思うだけだった。きみは当然口をきいてくれないし、またわたし自身、言葉でうまく伝えられる自信がないため、手紙の力を借りてきみにお詫びをしたいと思う。身も心も、ただきみに謝りたい気持ちでいっぱいだ。 もう何年も君と口をきいていないかのように思えている。しかし、きみの悲しみに比べれば、わたしのそれなどものの数ではないだろう。わたしは浮気をした。そしてきみのこころを傷つけた。なぜあのような衝動に突然駆られてしまったのか、われながら情けなくて仕方がない。二度と、きみを裏切ることはしないとわたしは断言する。しかし、いまのきみにそれを信じてもらえるとは思っていない。 わたしにできることは、以前にもまして、ひたすらきみを愛しつづけることだけだ。きみが去っても仕方がないと思っている。しかし、なおわたしはきみを愛しつづけるだろう。もし、わたしにやり直す機会を与えてもらえるならば、どうか、わたしではなく、わたしの愛を信じてほしい。愛が、この場限りの方便でも、一時的な熱情でもないことをきみに証明したいのだ。 康隆 平成○年○月○日 |
この種の詫び状はもっとも難しい手紙のひとつです。感傷が、伝えるべき要点を醜くしあげてしまう可能性があります。
相手は自分以上に悲しみ、傷ついていますので、自分のことばかり話して未練がましくなっては逆効果です。相手の気持ちを察することをおろそかにしないことが重要です。
そのため、「チャンスをほしい」とか「どうか聞き入れてください」とか「お願いします」とか、この種の言葉を連発しないようにし、なるべく相手の立場から言葉を練り上げていく必要があります。
また、「彼女とのことは精算する」とか、相手の女のことを詫び状に書くのは避けたいものです。それよりも、ひたすら妻を愛する気持ちを簡潔に書くことが重要です。